2026年6月24日(水)、東京農工大学府中キャンパス邂逅館にて、未来価値創造研究教育特区(FLOURISH)主催の「#36 Doctor’s Café モノづくりの世界でイノベーションを加速する!」が開催されました。
今回のゲストスピーカーには、起業支援の専門家とデザインエンジニアの2名をお招きし、参加した68名の学生からは活発な質問が寄せられ会場は熱気に溢れました。
セッション1では、「本当の顧客起点による製品開発」と題して、独立行政法人中小企業基盤整備機構 チーフインキュベーションマネージャーの賀門宏一氏より、顧客の本質的ニーズを的確に把握し、それに基づいた製品開発を行うためのプロセスについてお話しいただきました。特に、顧客が解決したい課題(ジョブ)を理解する「ジョブ理論」などのマーケティング視点は、研究者が研究を推進するうえでも極めて重要であることを学びました。顧客は「自分の研究成果を引き継ぐ次の研究者」や「その技術を取り入れて新製品を開発する企業」である可能性もあるという内容は、学生にとって非常に示唆に富むものでした。
セッション2では、「研究成果の社会実装を加速するデザインの力」と題して、株式会社346の創業者である菅野秀氏から、デザインが研究成果の社会実装において果たす役割についてご講演いただきました。デザインは単なる「見た目」を整えるものではなく、顧客のニーズを具現化し、製品の価値を最大化するための不可欠な要素であることが具体的な事例とともに示されました。また、菅野氏自身が宇宙工学とデザインという異なる分野を融合させて自身の強みとし、起業された経緯を伺い、分野融合の重要性を再認識する機会となりました。
トークセッションでは、工学府機械システム工学専攻博士後期課程1年の香田駿氏がファシリテーターを務め、自身の研究をどのように社会へ「売る」かというマーケティングの視点や、プロダクトアウト(技術起点)に偏らないための工夫、さらには隣接する専門分野を学ぶ重要性などについて、参加者から多くの質問があがりました。
参加した学生からは、「デザインの重要性についてこれまで着目したことがなかったため、非常に興味深かった」「自分の研究の『顧客』を具体的に想像する重要性を再認識した」といった感想が寄せられるとともに、「研究開発から商品化までの道のりの険しさを知る良い機会となった」「セットベース開発など、すぐに実践できる知見が得られた」など、自身の研究活動や将来のキャリア形成に向けた深い気づきを得た様子が伺えました。本イベントは学生にとって、専門分野に閉じこもりがちな研究活動に「顧客視点」と「デザインの力」という新たな風を吹き込む貴重な機会となりました。
FLOURISHが主催するDoctor’s Caféでは、今後も学生の皆様が研究力の向上に加え、キャリアの視野を広げ、強固な人的ネットワークを構築できるよう、多種多様なゲストをお招きし、自由闊達に議論ができる場を提供してまいります。
主催:国立大学法人 東京農工大学 未来価値創造研究教育特区 FLOURISH